月別アーカイブ: 2025年9月

第18回給排水設備雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社稲毛設備、更新担当の中西です。

 

1️⃣ “最適な一本”は用途で変わる
配管材は流すもの(飲料水・温水・汚水・薬品・圧縮空気など)、温度/圧力、設置環境(屋内/屋外、日射、塩害)、耐久・メンテ性、コストで総合判断します。同じ給水でも、戸建ての露出配管と工場の高温ラインでは正解が違う。だからこそ、素材の特性を“感覚”ではなく“データと実績”で比較することが重要です。

 

2️⃣ 主な配管材の性格表 🧭
• VP/VU(硬質塩ビ):軽量・安価・施工容易。耐食◎。温度と紫外線にやや弱い(保護要)。排水/通気の定番、給水にはHI-VPなど高耐圧品。
• HTVP/HI-VP:耐熱・高耐圧の塩ビ。温水や増圧系にも適用可能。接着の養生が品質を分ける。
• PE/架橋PE(PE-X):柔軟・耐食・凍結に強い。ヘッダー給水で威力。ラチェット式継手などで施工スピード◎。
• PB:低温衝撃に強く、曲げ配管で継手削減。高温長期は要設計。国内採用は限定的だがリフォームで光る。
• 銅管:熱伝導が良くコンパクト。給湯器周りの定番。水質(軟水の孔食)と還元性ガス環境に注意。ろう付けスキルが品質を左右🔥。
• ステンレス鋼管(SUS304/316):耐食・強度・清潔感◎。飲食・医療で人気。コスト高と熱伸縮、電食対策に留意。拡管・プレスで省施工。
• SGP/白ガス管:ねじ込みで汎用性。赤水・腐食に注意し、防錆塗装と電食対策。空気・消火・一部給水に。
• ダクタイル鋳鉄:耐圧・耐久に優れ屋外埋設の主役。離脱対策の継手指定と防食層がカギ。

 

3️⃣ 接合方式で変わる“施工品質” 🔩
• 接着(塩ビ):面取り→乾拭き→プライマー→接着→保持→養生。ここを急ぐと白化/剥離で漏れます。気温に応じた養生時間の管理⏳。
• ねじ込み(鋼管):シール材の量・方向・締付トルクが命。ねじ山傷・バリ取り・偏心防止。ラチェットの“締め足りない”も“締め過ぎ”も禁物。
• 溶接(鋼・ステン):開先・ルート間隔・溶材・熱影響部の管理。溶接記録と外観/内部検査(PT/RT)の基準を共有。
• ろう付け(銅):フラックス量・加熱範囲・毛細管現象を理解。冷却前に動かさない。酸洗い・水洗で腐食予防。
• 拡管/プレス(SUS/銅/樹脂):専用工具・圧着深さ・ゴムリングの劣化管理。狭所や高所でも品質が安定しやすいが、工具校正が必須。

 

4️⃣ 材料選定の“意思決定ツリー” 🌳
1. 流体の種類:飲用水?温水?汚水?薬液?
2. 温度/圧力:最大温度・最大圧力・サージ圧(ウォーターハンマー)を想定。
3. 設置環境:屋外日射、凍結、塩害、薬品ミスト、清掃薬剤。
4. 寿命・保全:更新可能性、点検性、交換コスト。
5. 工法と人材:職人の得意工法、工具保有、工期。
6. 法規・認証:JIS/水道法/消防/衛生基準の適合確認。

 

5️⃣ ケーススタディ 🧪
• 戸建ての給水更新:ヘッダー+架橋PEで“枝管短縮&水圧安定”。曲げ配管で継手削減=漏水リスク低下と作業スピードUP🚀。
• 小規模店舗の給湯:銅管+ろう付けでコンパクトに。熱に強く、保温厚を確保。火気作業の安全計画は厳守。
• 工場のプロセス水:SUS316L+プレスで耐食/衛生確保。薬品洗浄を想定してガスケット材質を選ぶ(EPDM/NBR/FKM等)。
• 屋外埋設排水:ダクタイル+離脱防止継手。路盤条件と防食層、マンホール・桝の据付精度が長寿命を決める。

 

6️⃣ コストと調達のリアル 💰📦
同じ材でも継手の単価×数量で総額が大きく変わります。曲げ配管で継手削減、ヘッダー方式で施工点数を一定化、在庫共通化で“端材ゼロ”を目指す。長期案件は市況(鋼材/銅相場)と納期を見越した手配が肝。代替材の承認を得ておくと、急な欠品で止まりません。

 

7️⃣ 長寿命化とトラブル未然防止 🛡️
• 電食/ガルバニック腐食:異種金属の直接接触を避け、絶縁継手や絶縁テープ。土中は犠牲陽極や防食ライニング。
• 水質と赤水:滞留・低流速・死水域を作らない配管計画。末端フラッシング運用もセットで。
• 熱伸縮:樹脂・金属ともに伸縮を見込む。ループ・スライドサポートで吸収。
• 紫外線:屋外の樹脂管は被覆・塗装・化粧ダクトで保護。

 

8️⃣ まとめ
材料選定は“正解が一つではない”世界。用途・環境・工法・人材・コストの最適バランスを見つける力がプロの価値です。次回は、図面の読み方と施工計画づくりを徹底解説。干渉調整のコツや、現場で役立つ描き方・考え方をお届けします📐🗺️。

 

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第17回給排水設備雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社稲毛設備、更新担当の中西です。

 

1️⃣ 給排水の“全体像”を掴む
建物の中で水が「入ってくる」「使われる」「出ていく」。この3ステップを支えるのが給排水設備です。給水(飲料水・雑用水)は安全で十分な圧力と流量が必要、排水(汚水・雑排水・雨水)は衛生的に、かつトラブルなく自然流下で速やかに流すことが使命です。さらに、見えない場所で黙々と働くため、施工品質が“使い心地”や“建物寿命”に直結します。例えば、給水圧が不足すれば上階のシャワーが弱くなり😵‍💫、排水勾配が狂えば詰まりや悪臭の原因に🤢。だからこそ、設計と施工、維持管理が三位一体で回ることが理想です。

 

2️⃣ 基本構成と流れ(ざっくり俯瞰)
• 上水の入口:水道本管→引込管→量水器(メーター)→逆止弁→主配管
• 加圧方式:直結直圧/直結増圧/受水槽+揚水ポンプ→高置水槽(重力)
• 使用点:キッチン・洗面・浴室・便器・洗濯・給湯器・散水栓など
• 排水系:器具トラップ→排水横枝→排水立管→排水横主管→屋外桝→公共下水
• 通気系:通気立管・伸頂通気・ループ通気・返し通気(負圧/サイホン対策)
• 雨水系:ルーフドレン→竪樋→側溝/浸透施設→公共雨水系
• 保温・防露:断熱材・ラッキングで結露/凍結を抑制
• 制御・検針:メーター、バルブ群、制御盤、圧力スイッチ、漏水検知
この全体像を頭に入れておくと、現場での判断や段取りがスムーズになります👍。

 

3️⃣ よく出てくる用語 🗒️
• 給水・給湯・雑用水:飲用か否か、温度帯の違い。
• 汚水・雑排水・雨水:配管系統と処理先が異なる。集合はNGなケースに注意。
• トラップ:封水で臭気や害虫の侵入を防ぐ。封水深の確保が命。
• 通気:排水負圧を抑え封水切れを防止。伸頂通気やループ通気が代表。
• 勾配:排水横走りの心臓部。基本は1/100〜1/50(用途・管径で最適化)。
• ヘッダー方式:給水を分岐ヘッダーで放射状に。末端圧のバラつき低減。
• 逆止弁/減圧弁/バルブ:逆流防止・圧力安定・系統遮断の三種の神器。

 

4️⃣ 施工の流れ ⛑️
1. 現調・既設確認:メーター位置、配管ルート、天井懐、スラブ厚さ、既設材質。
2. 施工図/スリーブ図:他設備・構造と干渉調整。空調・電気と“取り合い”会議💬。
3. 資材手配:管種・継手・支持金具・断熱材・シール材・器具。ロスを見込んだ発注。
4. 墨出し/スリーブ:中心線・高さ・勾配を確定。防火区画は耐火措置を計画🔥。
5. 配管・支持:支持間隔・吊り金具・インサート。ねじ・溶接・溶着の管理。
6. 機器据付/結線:ポンプ・ボイラ・制御盤。振れ止め・フレキで振動対策。
7. 試験:給水は水圧試験、排水は通水・目視。漏れゼロで仕上げる💪。
8. 保温・保冷:結露と熱ロスを抑え、外装で保護。美観も性能のうち✨。
9. 引渡し・図書:竣工図、試験成績、取説、保守計画。アフター体制も整備。

 

5️⃣ 品質を決める“見えないポイント” 🔍
• 勾配の連続性:一点の高低差ミスが池(滞留)を作る。レーザー/水糸で連続管理。
• トラップの封水:長期空室や負圧で切れやすい。通気計画と封水補給の工夫を。
• ねじ込みの下地処理:シールテープの巻き方・ねじ山清掃・トルク管理で漏水ゼロに。
• 銅管/ステンの電食:異種金属接触・電位差に注意。絶縁継手や絶縁テープで対策。
• 保温端部の処理:端部のテーピングやラッキングの合わせ目に結露が潜む。
• 点検口の確保:将来のメンテを想定。器具裏、ヘッダー、バルブ周りは“手が入る”寸法。

 

6️⃣ 現場あるある&対処法 😅➡️😄
• “この配管どこ行き?”問題:系統マーキング(色・矢印・系統名)で迷子ゼロ。
• “ここに穴開けていいの?”問題:構造図でスラブ厚・主筋位置を確認。あと施工のケミカルアンカーは承認を取る📄。
• “臭いが上がる”問題:封水切れ・隠れサイホン・換気ファンとの相互作用。通気補強と器具選定を見直し。
• “シャワーが弱い”問題:末端圧・同時使用率・管径・減圧弁設定を再検討。増圧も視野に。

 

7️⃣ 役立つチェックリスト ✅
☐ 図面整合(構造・空調・電気)
☐ スリーブ位置/径・耐火措置
☐ 支持金具ピッチ・インサート
☐ 勾配・通気・トラップ封水
☐ ねじ/溶接/溶着の施工記録
☐ 圧力試験/通水試験
☐ 保温厚・防露納まり
☐ 点検口・バルブアクセス
☐ 竣工図・取説・保守計画

 

8️⃣ まとめ ✨
給排水は「水の道」をデザインする仕事。設計から施工、そして運用まで、一本の“ストーリー”として繋がっています。基礎をしっかり押さえれば、現場判断の精度が一段上がり、クレームや手戻りが激減します。次回は、現場の肝である配管材料の選び方を徹底解説します!🧪🔧

 

株式会社稲毛設備では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!

私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。

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